近くのいきつけの喫茶店。
いつものように長く過ごして、
外に出ると雨が降っていた。
店のマスターに傘を借りて、
二人で傘に入ったけれど、
おれの馬鹿でかい図体のせいで、
あいつの左肩はびしょ濡れだった。

おれは傘をあいつに渡して、
おれは濡れて帰ると言った。

あいつは風邪を引くからだめだといった。

だから、おれは服を脱いで走った。
服を脱いだら、海で泳ぐのと一緒だろ?
叫びながら。家まで走った。

あいつは、帰ってきて、

「バカじゃない」

って言ったけど、
その日の夜、ベッドの中で、

「嬉しかった」

ってあっちを見ながら言ってくれたのさ。

きっと今夜も、このご馳走を目の前にして、
喜んでくれるに違いない。
当然そう思っていたよ。おれはね。

でも、あいつが帰ってきたのは
夜の11時を回った頃だった。

いつもと比べてやけに遅い。

「何をしてたんだ?」

別に、悪気なんて無いよ。
何をしていたのだろう。
そう思ったからそう聞いたのさ。
当然だよな?
遅くなったから聞いたのさ。

「なんでこんなに遅くなったんだ?」

それが、あいつは答えないんだ。

それで、あいつに近寄ると、
突然何かをぶつけられた。