甘くてやさしくて泣きたくなる~ちゃんと恋したい

「先週販売決定した新製品あるだろ?『魔法チョコ』ってやつ」

「ああ、社運をかけて開発した新製品だよな。口の中で味も色も変わってくチョコレートだろう?」

「あのパッケージ、間宮デザインが引き受けてくれたらしいぞ」

間宮デザイン?
経済関係にとんと疎い私にはその会社がどれほどの規模があるのかは検討もつかない。

「へー!あの日本でも一、二を争うデザイン会社がよくも俺たちみたいな小さな会社の仕事引き受けてくれたんだな」

ふぅん。
そんなすごいデザイン会社なんだ。

パソコンが立ち上がったので慌ててパスワードを入れる。

「最初に依頼に行った時はそりゃけんもほろろだったらしいぜ。だけどあきらめて帰ろうとした時、間宮社長の息子、名前は何だったっけな。その息子が声をかけてきて是非やらせてほしいって」

「なんでまたその息子はこんな小さな会社の仕事引き受けようなんて思ったんだろな」

「それがわかんないんだよね」

いつの間にかその話にくぎ付けになってしまって、上田さんと私は目がばっちり合ってしまった。

上田さんは「ん?」と小首をかしげて私の反応を確かめるような仕草をする。

「いえ、すみません」

他人の話を盗み聞きするなんて、なんてみっともないことしてしまったのかしら。

私は首を横に振りながらうつ向いた。