甘くてやさしくて泣きたくなる~ちゃんと恋したい

私は手の甲で自分の涙を拭きながら「もちろん」と頷く。

それ以来、弥生は少し変わった。

いつも明るく笑顔なのは一緒だけど、今まで親しくしていた友達と距離を置き、私との時間を大切にしてくれた。そして、時々、私の前で泣いた。

彼女の父親はリハビリを続け少しずつ回復し、病院で知り合った看護師と再婚したらしい。

それを機に、弥生は自分の生き方を模索してそして今に至ってる。

本当にやりたいこと。今までできなかったその時間を取り戻すかのように。

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「凛のご両親は元気?」

「うん」

今だに両親の呪縛から逃れ切れていない自分にうんざりしながら頷く。

「それにしても、凛が一人暮らし許してもらえるなんて、それだけでも一歩前進じゃん?」

弥生は生中を傾けながら笑った。

「そうだよね。一人暮らしって気楽だけど、何かあったとき、全部ひとりで対処しないといけないのが結構大変。弥生は一人暮らしで困ったときはどうしてるの?」

「困ったときって、例えば?」

「ゴキブリが出た!とか」

「あはは、ゴキブリごときじゃそんな驚かないわよ。それに北海道はゴキブリほとんどいないしね」

「そっか」

私は首をすくめてつまらなそうな顔をしてみた。