彼の鎖骨に頬を寄せ、「私も」とつぶやく。

もう一度甘いキスをした後、私たちは気だるい体を起こし服を着て、夕日を見るために甲板に出た。

「嘘みたい……」

そこには見たこともないような大きな夕日が水平線にゆらゆらと溶けていくように存在している。

その姿はとても神々しく輝き、今日の終わりの切なさと明日へ続く希望に満ちているように見えた。

終わりがあるから始まりがある。

夕日は終わりを告げるだけじゃなく、その後にくる闇の向こうに必ず明日があることを忘れるなって言ってるんだ。

全ては繋がってる。

樹さんが夕日が好きだと言った気持ちがわかったような気がした。

今はもう、深くて濃い海の青も、これから訪れる闇も怖くない。

「私も夕日派になりました」

「夕日派、ねぇ」

彼は私に顔をむけるとくすっと笑い、肩に回した手に力を込めた。

樹さんに会わなければ、世界がこんなに美しくて素晴らしいものだなんて知らなかった。

そして、こんな自分に会えるなんて思いもしなかった。

ずっとあなたと一緒にいたい。

夕日が幕を下ろす時、彼は私に優しくキスをして言った。

「結婚してほしい」

え?

ええ~!!?