甘くてやさしくて泣きたくなる~ちゃんと恋したい

電車を乗り継ぎ、改札を出ると彼の車が目の前に見えた。

私の姿を見つけるとすぐに車から出てきて、私の様子を伺うように片方の眉を上げて微笑む。

「おかえり」

「お待たせしました」

私は頬にかかる髪をかき上げながら少しだけ笑った。

「大丈夫だった?」

私はあいまいな表情で頷いた。

車がゆっくりと人気もまばらな夜の街を抜けていく。

「やっぱり私、自分の家に戻らないと」

「戻る?」

樹さんは前を向いたまま、目を見開いた。

「このまま、樹さんの家に住むことはやはり許されないみたいです」

「そうか……」

それ以上問い詰めようとせず、その空気を理解してくれる彼がしみじみ好きだ思う。

両親にどう思われたって、私はこの人が好き。

この思いは決して間違ってはいない。

「凛は、どう思ってるの?」

彼は前を向いたまま静かに尋ねた。

私は。

一緒にいたい。片時だって樹さんと離れたくはない。

だけど、今の自分じゃまだ両親に抗えるだけの自信も強さもなかった。

だから一つの決心を固めたんだ。

彼の横顔に顔を向ける。