その日のお昼は久しぶりに直美とランチに行く約束をしていた。

会社の近くにある老舗ラーメン屋がいいと言う直美の提案に乗っかる。

カウンターしかない小さな店内はいつも混んでいるから、お昼のチャイムと同時に飛び出した。

それなのに、もう店の前には5人ほどの行列ができていて、二人で顔を見合わせてがっくり肩を落とす。

店の前には屋根も日よけになるものもないので、日傘を持ってくればよかったと直美はぶつぶつこぼしていた。

「少々日光には当たった方が体にはいいらしいよ」

そんな直美をなだめてみる。

「20代後半からお肌には紫外線は大敵なんだって!これが十年後、二十年後に後悔の元になるんだから」

直美は両手で顔に日影を作り、眉を八の字にして日差しをにらみつけた。

「十年後、二十年後って私たち40代でしょう?その頃には自分のお肌がどうだかなんて気にしてないんじゃないかしら」

そう言いながら、直美の頬はほんのり赤くなっていて、もうこの日差しで焼けちゃったのかなと思う。

「凛ちゃんも透き通るように白い肌をしてるから、ほんと大事にした方がいいんだよ。紫外線が肌に蓄積されて後々せっかくのきれいな肌が台無しになっちゃったら大変じゃん」

「そう?」

確かに肌はあまり強い方ではない。日に当たるとすぐに赤くなる。
でも、元に戻るのも早いから勝手に大丈夫なんだと思っていたけど。