「あらら、来ちゃったよ、新しい家庭教師」 香山家の三男・蘭(らん)は窓辺に腰掛け、門の辺りを眺めながら言った。 「女か?」 次男・圭(けい)が本を読みつつボソリと聞く。 「みたいだよ。 まぁ、女じゃないとダメだって言ったしね、ねぇ、優兄」 蘭は後ろで紅茶を飲む兄に振り返り言った。 長男・優(ゆう)はティーカップを置くと、ゆったりと微笑んだ。