僕等の、赤。


 「それを望んでしまったら、親の死を待つことになってしまうでしょ。俺、家族のことも大好きだったので、みんなには幸せに長生きしてほしいんです。それに、今生まれ変われれば、家族にも岳海蒼丸にも会いに行ける。だから、一刻も早く生まれ変わりたいんです」

 蒼ちゃんが、切実な瞳で私を見た。

 「生まれ変わっても、今の記憶って残ったままなの? 私、前世どころか幼少期の記憶もほぼないけど」

 「イヤ、真っ新な状態で誕生」

 「じゃあ、意味ないじゃん」

 なんかもう、呆れてしまい、乾いた笑いを漏らしてしまった。

 「記憶なんかなくたって、会いたい人には絶対に会える」

 さっきからずっと色んなことが信じられなくて、腑に落ちなくて、話半分にしか聞いていない私に、蒼ちゃんがめげず語りかけてくる。