僕等の、赤。


 「唐沢さんが佐波野さんにちょっかいを出すのは、佐波野さんのことが好きだからですよ」

 【唐沢】と言う名前を聞いただけでブチ切れているというのに、蒼ちゃんは唐沢の話を辞めない。

 「小学生かよ。ていうか、唐沢が私を好きなワケがないの‼ アイツから見たら、私はただの行き遅れた目障りなババアでしかないの‼ 私だって、あの男のことなんて好きか嫌いかで言ったら、死ぬほど大嫌いなの‼」

 これ以上唐沢の話なんかするなとばかりに、いかにアイツが嫌いかを強い口調で発する。

 「でも、俺を産んでもらわないと……」

 「他の人に頼んでください。ていうか、直近で妊娠とか、本当に有り得ないので。神様ってそんなホラを平気で吐くの? それ、絶対に神様じゃないから。蒼汰くんの親ってさぁ、毒親だったの? 親のことが好きだったら、普通また同じお父さんとお母さんから産まれたいって思うモンなんじゃないの?」

 否定の言葉を重ね、蒼ちゃんに諦める様促す。