「俺を、産んで欲しい」
「バファッ‼」
突拍子もない蒼ちゃんの依頼に、口の中にあったコーヒーを全部吐き出してしまった。
「大丈夫? コーヒー拭くことも、背中を摩ることも出来ないけど、大丈夫?」
蒼ちゃんが心配そうに私の顔を覗き込む。
「大丈夫じゃないよ‼ 何言ってんの⁉ 頭おかしいんじゃないの⁉」
運良くコーヒーはパソコンにかかっておらず、パソコンの位置をずらして避難させると、ボックスティッシュから大量にティッシュを抜き取り、急いでデスクに広がるコーヒーを拭き取った。
「直近で妊娠予定で、シナリオも書けて、なんとなくこの人好きだなーって人が佐波野さんだったんですよ」
私に頭の調子を疑われても、蒼ちゃんは話を続けた。



