「でも、今度こそ大賞を取りますよ。シナリオじゃなくて、小説だけど」
蒼ちゃんがニコっと笑いかけた。
「なんでそんなことを知ってるの?」
「神様が言ってたから」
「…………ふっ」
やっぱり我慢しきれずに笑ってしまう。36歳に『神様が言ってた』はキツイ。
「笑ってやがる」
蒼ちゃんがほっぺたを膨らませて、鼻の穴を広げた。
「『神様が……』って話を信じさせたいなら、36歳はダメだって。もっと若い子じゃないと。せいぜい17歳だね。大学生になると危うい。だっておかしいじゃん。もう蒼ちゃんの四十九日は終わってるはずだよね? なんで幽霊になってるの? 成仏しなかったってこと?」
『イヤ、幽霊て』と、自分の言葉にさえ笑ってしまう。



