「『驚きの連続』みたいなキャッチフレーズの映画とかアトラクションってあるけど、本当に連続させちゃダメだよね。緩急がないと」
暗に『飽きた』ことを認めると、
「あはははは。やっぱり佐波野さんって面白い。さっき、『会ったことも話したこともない自分になんでシナリオの代筆を頼むの?』って聞いたじゃないですか? 確かに接点はなかったんですけど、俺は佐波野さんの事、死ぬ前から知ってました。佐波野さんが出したコンクールの作品、俺も読んでいたので。審査員ではなかったんですけど、知り合いがそのコンクールの関係者で、『最終候補の作品、読んでみる?』って言われて、読ませてもらったんですよ。俺はぶっちぎりで佐波野さんのシナリオが一番面白いと思った。ドロドロした足の引っ張り合戦が最高だった。でも結果はアイドル作家が獲った。あれは完全に出来レース」
蒼ちゃんが、私がコンクールに応募したシナリオの概要をサラっと話した。そのシナリオは、ネットに1度も載せたことがない。関係者以外の人間は絶対に目にするはずもないものだった。



