僕等の、赤。


 「岳海蒼丸は本当に仲が良いんですけど、俺が見えたらみんな喜びますかね? 佐波野さん、めちゃめちゃ気持ち悪がってるじゃないですか。つか、今も信じてなさ気だし」

 蒼ちゃんが、私と目線を合わせる様に、近くの椅子に座った。

 「信じてないよ。だって、なんでパソコン打てないのに椅子には座れるのよ」

 「座っている様に見えて、空気椅子です。幽霊なんで、疲れない。椅子、引き抜いてみてください」

 蒼ちゃんが椅子を指差すから、言われた通りに引き抜くと、彼は座った姿勢のまま。足を宙でぶらつかせた。

 「おぉ‼ 浮いている」

 驚きはしているが、不思議現象に慣れてきてしまい、感動も薄まる。

 「なんかリアクション薄っ。さては、飽きてきましたね」

 蒼ちゃんが、『ククッ』と笑った。