僕等の、赤。


 「私ね、もう36年も生きているから、少女漫画の主人公みたいに『幽霊になって出て来たのね‼』みたいな短絡さはないのね。でも、話が堂々巡りになりそうだから、全く信じてないけど、アナタが蒼汰くんだと仮定して話を先に進めますね。なんでアナタは、話したことも、会ったことすらない私にシナリオの代筆を依頼するの? アナタが本当に岳海蒼丸の蒼汰だったら、メンバーの誰かにお願いすればいいでしょ」

 なんかもう、まどろっこしくなってしまい、目の前の男の子を[蒼ちゃん]ということにした。

 「佐波野さん、シナリオの書き方を知ってるから話が早い。それに、俺の姿は1人だけにしか見えないんだって。岳海蒼丸の3人のうちの1人を選べなかった。1人だけ変な負担を掛けたくなかったから」

 蒼ちゃんが、苦しそうに寂しそうに唇を噛んだ。