「……コンテストの下読みさんですか?」
偽蒼汰は出版社の人ではないと言っていた。だとしたら、この事を知っている人間は出版社から依頼されて、コンテストに応募された作品を読んで選別する下読み以外ありえない。だって、私は本当に誰にも話していない。寝言で言ったかもしれないが、この男の子と寝る機会などあるわけがない。
「だから、違いますって。岳海蒼丸の蒼汰です」
「だから、蒼汰くんは事故で死んじゃったんですって」
「死んでます。生きてません」
「はーいー⁉」
同じ言語で話をしているはずなのに、こんなにも意志疎通が出来ないなんてあり得るのか? と、もうお手上げ状態。
「じゃあ、私の事情は誰から聞いたんですか?」
「神様」
「……ブフォッ」
予想外の返答に、堪えきれずに噴き出してしまった。神様て……。神様て……。笑。



