僕等の、赤。

 変に虚しくなりながら、なんとなく遠い目をしていると、

 「佐波野さんの歳、知ってますから。36歳でしょ? そんなのどうでもいいから、さっき録画した動画、再生してみてください」

 偽颯太が、私の年齢を言い当てて、私の心臓を抉ってきた。自分の年齢なんて当然分かっているけれど、目を逸らせていたいのに……。

 「……何で初対面のアナタが私の年齢まで知ってるの……」

 何者かさっぱり分からない人間が、奇妙な事をしたかと思えば、私の素性を話してくる。怖くて、気味が悪くて、自分の年齢が辛くて、何故か涙目になる。

 「あ……すみません。話がなかなか進まなくて、焦って失礼な事を言いました。ごめんなさい。取りあえず、さっきの動画を見てみてください。ちゃんと説明したいので」

 すまなそうにする偽颯太に、恥ずかしくなってしまう。きっとコイツは、私が年齢を言われた事に落ち込んで半泣きになっていると思っているのだろう。それだけが理由じゃないのに。