僕等の、赤。

 「……よっぽど辛かったんだね、蒼ちゃんが死んじゃった事。蒼ちゃんのファンだったんだよね? 可哀想に……。どこの病院に通っているのかな?」

 この意志疎通の取れなさはきっと、心の病が重篤で、どこかの病院に通っているに違いないと思い、仕事中ではあるが、少しだけ事務所を閉めて彼を病院に連れて行ってあげようと、病院名を聞き出す事に。

 「ちがーう‼ あ、やっぱもう1回ハイタッチしよう‼ 手品のタネ、気になるでしょ? スマホで動画撮ってください」

 何かを閃いた様子の偽蒼汰が、再度掌を私に向けた。

 「タネ、明かしちゃっていいんですか? でも、撮っていいなら遠慮なく」

 大盤振る舞いなマジシャンやなと思いながら、スマホを偽蒼汰の手を撮ろうとするが、

 「え、何で? もうマジック始まってるの?」

 何故か彼の手はスマホのカメラに映らなかった。