先生と準備室 後編

「佳奈!」

佳奈に声をかけ駆け寄ると

佳奈は目を見開いてこっちを見た。

「おかえり」

佳奈を傷つけないようにそっと手を

繋いだ。

だけど…

「ッ…!」

手は弾かれ俺の手の甲には血が。

「あ…ごめん…」

「ん?大丈夫。」

本当はヒリヒリして痛かったけど

優しく微笑んだ。

「佳奈、帰ろう」

俺のその声は佳奈の

「ごめんね」

と、言う、か細く震えた声で消された。

佳奈はいつも以上に早歩きで俺を置いて

一緒の家へと帰っていった。