「そのワンピース…佳奈ちゃん…?
佳奈ちゃんだよね…?」

その声…知ってるよ。

駿さんのお店で聞いた、優しい声。

凌久より子供っぽくて、私と

同年代の人の声。

"犬山さん"だよね。

「ごめんなさい…お願いですから…
離して…ください…」

顔を見せないように、か細く

震えた声で言った。

「佳奈ちゃん?泣いてるの?」

「…泣いてません…離して…」

「泣いてるよね。ほら、こっち見て」