「ちょっと!何、兄弟喧嘩してんすか。
佳奈ちゃん怖がってますけど。」

ここで、犬山さんが咄嗟に私を

引き離す。

「佳奈ちゃん。大丈夫だよ。」


「あ…佳奈…ごめん」

俺、何やってんだ。そう言いながら

凌久は私の頭を撫でる。

「…」

知らなかった。あんな凌久…。

あんな低い声でお兄さんと喧嘩をする凌久。

口調も別人みたいで。

想像したら手が震えた。