『あ…ゴメン…大丈夫?…』
と、彼女が近付いてくる。
全力疾走をしてきたのか彼女は軽く息が荒く、顔も軽く紅く、心配そうな瞳は、痛みのせいか、軽く涙目だった。

(お…襲いたい…)

誰だって片想いの相手がこんな顔をしていたらこう思うだろう。
俺だってそうだった。
俺は、思わず彼女の頬に右手を添える。

(止まらない
止められそうにない…)

俺は、急に頬に触れられ、驚いて固まる彼女の無防備な背中に手を回す。
そして、抱き締めた。
心臓は早鐘を打つ。
顔だって、きっと真っ赤だし、息だって荒い。
もう、変質者のレベル。
なのに、彼女は拒まない。

(恐怖で拒めないのか…?)

それすらいとおしくなる。

(あぁ…愛し過ぎだろ俺…バーカ)