「って、俺自己紹介もしてなかったよね」
私はこくんこくんと頷く。
「俺の名前は……」
教室の窓から涼しい風が吹いて、
彼の茶色い髪がフワフワと揺れる。
……本当に綺麗な顔してる……な……
私を見つめる彼の瞳に
つい見とれてしまう程にーーーーー。
「早坂 瑞希 (はやさかみずき) 。
瑞希って呼んでね、ゆずちゃん」
そう言ってまた優しく笑う瑞希くんに
私は溢れ出した涙が止まっていた。
「……瑞希くん……ありがとうっ」
私も瑞希くんの優しい笑顔に
つられて泣き顔も笑い顔になる。
「…………マジ…破壊力強いって……」
「……え?」
瑞希くんは一瞬目を逸らして
「……いや、どういたしまして」
瑞希くんは、
私に何があったのか何も聞かないまま
ただ、ただ私に優しく微笑んだ。



