「おや、そのシャツ、かなりボロボロだな。しかもお前が通ってる高校は不自然にぶっ飛んじまったし、これはお前の仕業なんだろ」
コールは意味ありげにニヤリと笑う。
ダークライトの中でもヴィンセントは破壊することにかけては他の誰よりも強い能力を持つ。
気を集め一気に物をぶっ壊す。コールがそれを知らないはずはない。
「何が言いたいんだ」
「いや、昨日、偶然ホワイトライトの気配がしたんだ。それもかなりの大物のな。それに誘われて来たらここに来たと言う訳さ」
突然じろりと怪しんでる目でヴィンセントを睨む。
ヴィンセントは平常心を装うが、内心落ち着かない。
瞳孔が一瞬開き、コールはそれを見逃さなかった。
「どうした、やっぱり学校を吹き飛ばしたのはホワイトライトに関係してることなのか。ベジタリアンのお前がああいうことするのには必ず理由があるはず。お前も何か情報を仕入れたんだろ。教えろ」
情けなさそうな表情から、突然冷血な鋭い眼差しを向け、ドスを効かした声で脅した。
「そんなもの知ってても素直に教える訳ないだろ。第一何も知らないのに何を教えるんだ。そんなに知りたければ、俺の親父にでも聞きな」
ヴィンセントはできるだけ冷静にとぼけて答えたつもりだった。
だが心の内は気が気でない。暫く睨み合いが続いた。
「アハハハハ、参ったぜ、あんなにガキだったお前が、俺に反抗して睨みを聞かせるとはな。お前もちょっとは成長したってことか。お前の親父は好きじゃないが、これでもお前のことは気に入ってんだぜ。お前は俺と同じ臭いがする。ベジタリアンにするにはもったいないぜ。どうだ親父のところを離れて、俺のところへ来ないか。俺たち絶対いいコンビになれるぜ」
コールはジャケットの懐から札束をのぞかせた。
悪事を働かせて手に入れた金に違いない。
ヴィンセントはその札束を見てヘドが出る思いだった。
「金には不自由してない。他をあたりな。それからとっととここから出て行った方がいいんじゃないのか。俺の親父に見つかる前にな」
──頼むから出ていってくれ!
ヴィンセントはとんだ悪夢を見ているようだった。
「ちぇっ、ノリの悪い奴。まあ久しぶりに帰ってきたんだし、ちょっと知り合いに挨拶してからその先のこと考えるとするわ。どっちみち、お前の親父のせいでここは居心地悪いからな。まあ俺が大人しくしてればあっちも文句のつけようがないだろうけどね」
コールは『またな』と格好つけて車のエンジン音をふかして去っていった。
ヴィンセントは緊張の糸がほぐれたように、深く息を吐く。
長いこと水中に潜って息苦しい気分だった。
コールは少し離れていてもホワイトライトの気配を感じる能力を持っている。
ホワイトライトが放つ光は周りのものに影響を与え、ときには風に乗れば電波のように遠く離れたところにも届くことがある。
それをキャッチされるとは想定外だった。
ヴィンセントはまた悔やんだ。
父親の言葉がさらに正しいと認めざるを得なくなった。
「くそ!」
どうしようもなく、自分の不甲斐なさに腹が立つ。
そしてベアトリスの笑顔を思い出すと首をうなだれた。
「俺、どうすればいいんだ」
ヴィンセントの鼻がへし折れた。
暫く立ち止まり、苦虫を潰したような顔を空に向ける。
一大決心をするように、ぐっと腹に力を込めヴィンセントは来た道を戻っていった。
まずは正々堂々と父親に叱られて自分の非を認めなければ気が治まらなかった。
殴られることも覚悟して、勝手に想像しては無意識に歯を食いしばっていた。
コールは意味ありげにニヤリと笑う。
ダークライトの中でもヴィンセントは破壊することにかけては他の誰よりも強い能力を持つ。
気を集め一気に物をぶっ壊す。コールがそれを知らないはずはない。
「何が言いたいんだ」
「いや、昨日、偶然ホワイトライトの気配がしたんだ。それもかなりの大物のな。それに誘われて来たらここに来たと言う訳さ」
突然じろりと怪しんでる目でヴィンセントを睨む。
ヴィンセントは平常心を装うが、内心落ち着かない。
瞳孔が一瞬開き、コールはそれを見逃さなかった。
「どうした、やっぱり学校を吹き飛ばしたのはホワイトライトに関係してることなのか。ベジタリアンのお前がああいうことするのには必ず理由があるはず。お前も何か情報を仕入れたんだろ。教えろ」
情けなさそうな表情から、突然冷血な鋭い眼差しを向け、ドスを効かした声で脅した。
「そんなもの知ってても素直に教える訳ないだろ。第一何も知らないのに何を教えるんだ。そんなに知りたければ、俺の親父にでも聞きな」
ヴィンセントはできるだけ冷静にとぼけて答えたつもりだった。
だが心の内は気が気でない。暫く睨み合いが続いた。
「アハハハハ、参ったぜ、あんなにガキだったお前が、俺に反抗して睨みを聞かせるとはな。お前もちょっとは成長したってことか。お前の親父は好きじゃないが、これでもお前のことは気に入ってんだぜ。お前は俺と同じ臭いがする。ベジタリアンにするにはもったいないぜ。どうだ親父のところを離れて、俺のところへ来ないか。俺たち絶対いいコンビになれるぜ」
コールはジャケットの懐から札束をのぞかせた。
悪事を働かせて手に入れた金に違いない。
ヴィンセントはその札束を見てヘドが出る思いだった。
「金には不自由してない。他をあたりな。それからとっととここから出て行った方がいいんじゃないのか。俺の親父に見つかる前にな」
──頼むから出ていってくれ!
ヴィンセントはとんだ悪夢を見ているようだった。
「ちぇっ、ノリの悪い奴。まあ久しぶりに帰ってきたんだし、ちょっと知り合いに挨拶してからその先のこと考えるとするわ。どっちみち、お前の親父のせいでここは居心地悪いからな。まあ俺が大人しくしてればあっちも文句のつけようがないだろうけどね」
コールは『またな』と格好つけて車のエンジン音をふかして去っていった。
ヴィンセントは緊張の糸がほぐれたように、深く息を吐く。
長いこと水中に潜って息苦しい気分だった。
コールは少し離れていてもホワイトライトの気配を感じる能力を持っている。
ホワイトライトが放つ光は周りのものに影響を与え、ときには風に乗れば電波のように遠く離れたところにも届くことがある。
それをキャッチされるとは想定外だった。
ヴィンセントはまた悔やんだ。
父親の言葉がさらに正しいと認めざるを得なくなった。
「くそ!」
どうしようもなく、自分の不甲斐なさに腹が立つ。
そしてベアトリスの笑顔を思い出すと首をうなだれた。
「俺、どうすればいいんだ」
ヴィンセントの鼻がへし折れた。
暫く立ち止まり、苦虫を潰したような顔を空に向ける。
一大決心をするように、ぐっと腹に力を込めヴィンセントは来た道を戻っていった。
まずは正々堂々と父親に叱られて自分の非を認めなければ気が治まらなかった。
殴られることも覚悟して、勝手に想像しては無意識に歯を食いしばっていた。



