「じゃあ、ベアトリスのシールドを取り除くことはできないの? 私が初めてベアトリスと話したとき、あの時シールドはなかったわ。だから私もベアトリスの存在に気がついたんだけど、あれはあなたの仕業じゃないの?」

「ああ、初めて彼女のシールドが解除された時のことか。そうさ、あれは俺が仕掛けた。初めて上手くいったときだった。今までにも何度も仕掛けたけどね。これも偶然が偶然を呼んでそうなったみたいだ。だが、あの時君が余計なことをふきこんだんだね。ベアトリスの様子がおかしくなったんで、お陰で大変なことを してしまったよ」

「もしかして、あの火災報知器の誤作動の原因はあなた?」

「そうさ、ベアトリスがふさぎこんで、すぐに側に行けないもどかしさから、欲望が高まって影を呼び込んでしまった。あいつらはダークライトの己の欲望にすぐに反応して手を貸しに来るからね。あいつらが集まると熱を発する。それが誤作動の原因さ。そしてホワイトライトのベアトリスを見つけて襲い掛かってしまった。ホワイトライトはあいつらにはご馳走だ。取り入れたものは力を得てしまう。でも誤算だったよ。まだ完全にシールドが解除されてなくて、俺は彼女に触れたとたん、血が沸騰するほど熱くなり野獣の姿をさらけ出してしまった。ベアトリスが気絶したお陰でなんとかごまかしたけど、やばかった」

「その次の日が完全にシールドが解除されたってことね。だからあなたは大胆にベアトリスに近づけた」

「そうさ、あれは願ってもないチャンスだった。彼女をこの手に触れても血は熱くならずこのままの俺で接しられた。とても楽しかったよ。その後で全部元に戻ってしまって、こんなことになってしまったけど…… なんか尋問されてすっかりベラベラしゃべってしまったな」

 少し呆れ気味にヴィンセントは笑った。

 しかし誰にも言えなかったことを吐き出せたのはすっきりしたのか、顔つきが優しくなっていた。
 その表情にサラはまだ聞けるとばかりに話続けた。