「えっ、どうしたの? 何があったの? 私にも教えて」

 ベアトリスが三人の顔を覗き込む。三人とも言い難そうにそれぞれの顔を確かめ合って、言っていいものか迷っていた。結局言える訳がなかった。

「なんかいつも私だけ取り残されるというのか、ただ皆についていけないのか、何も判らないのね」

 ベアトリスは寂しく語る。でも気を取り直して明るく振舞った。

「人には言えないことだってあるものね。無理に聞いちゃいけないわ。だけどどうしても一人で抱え込んで苦しいときは私に相談してね。それくらいなら私喜んで相談にのるから」

 ベアトリスの言葉に、レベッカとケイトの良心の呵責が機敏に反応する。

 二人ともベアトリスに抱きつきワンワン泣いていた。

 ベアトリスはしっかりと受け止めてひたすら慰めていた。

 暫くしてベアトリスはふと一人足りないことに心配する。

「ところでサラは? まさかこの被害で怪我したんじゃ……」

「それは大丈夫です。さっきまで一緒だったんです。きっとこの二人を見つけようと違うところを探していると思います」

 グレイスが答え、そして再び二人を戒めるような目で見ると、二人は反省してますと言わんばかりに殊勝な顔をわざと見せていた。

 グレイスがため息を漏らすと、ベアトリスが『もういいじゃない』と言いたげに笑顔を振りまいた。

 一方、サラはこの時、ヴィンセントと鉢合わせになっていた──。