レベッカはそれを見て耐えられなくなり、涙とそばかすが交じり合うように顔をくしゃくしゃにして謝り出した。

「ごめんなさい、ベアトリス。本当にごめんなさい」

「ちょっと、落ち着きなさい、レベッカ」

 ケイトがやめろと言わんばかりに小突いていた。

 しかし冷静なケイトもいつしか釣られて一緒に泣きだした。

 眼鏡に水滴がつく勢いだった。

 関係のないものに先に泣かれるとベアトリスは腰を折られたように、拍子抜けする。

 自分のことよりもこの二人をなだめるのが先だった。

 うっすら溜まった涙を軽く指でふきとり、優しく声を掛けた。

「どうしたの二人とも。一体何が起こったの。ちゃんと説明して。どうしてヴィンセントに追いかけられていたの?」

 ベアトリスが訊いてても二人は下を向いて泣くだけだった。

 訳が分からなくとも、泣いてる二人を見るとベアトリスは慈悲深く、二人の間に立ち両手でそれぞれの肩を抱いて包み込んでやった。

 二人は甘えるようにベアトリスに寄り添い、気分も少しずつ落ち着いていく。

 ベアトリスはレベッカとケイトを連れてフィールドの端を歩いていると、グレイスが見つけたといわんばかりに前方から走ってきた。

「二人ともどこへ行ってたの。いきなり走っていなくなるんだもん。びっくりしたわ。ベアトリスに迷惑かけてちゃだめでしょう」

 グレイスが小言をぐちぐち言うように責める。

「この子達、ヴィンセントと何かトラブルを起こしたみたいなの。聞いても答えてくれなくて、グレイス何か心当たりない?」

 ベアトリスも真相を知りたいとばかりに聞いてみた。

 グレイスは、心当たりがあるのか、はっと口元を押さえる。

 恐る恐る二人に問いかける。

「まさか、あなた達、余計なこと…… しちゃったとか?」

 グレイスの言葉にレベッカとケイトは『うん』と渋々頷いた。