放課後、授業が終わったとたんベアトリスは勢いよく立ち上がりヴィンセントの前に現れた。

「ねぇ、どこか寄り道していかない? 二人っきりで」

 ウィンクをしてヴィンセントをいたずらっぽくそそってみる。

「それって、デートのお誘いかい?」

 ベアトリスは答える代わりにヴィンセントの手を握り強く引っ張って、無理に椅子から立ち上がらせた。

 そして早く二人っきりになりたいとせかしながら教室を出ては、ヴィンセントを引きずるように廊下を走っていく。

 偶然廊下に居た、サラ、レベッカ、ケイト、グレイスが振り返り、二人が走り去っていく様子を目で追った。

 手を繋いでいる様子から全てがうまく行ったことを悟ると、四人は顔を見合わせほっとしたような笑みをこぼしていた。

 廊下の先の出口に近づくと、外の日差しがまぶしく感じ、ヴィンセントは目を細めた。

「ベアトリス、そんなに慌てなくても…… でも二人っきりになって何をしたいんだい」

 ヴィンセントが茶化した。

「もちろん、ヴィンセントが考えていることと同じことよ」

 茶目っ気たっぷりにベアトリスは答えた。

 それを聞いたとたんヴィンセントはベアトリスを引っ張り、もっと早く走り出していた。


 <The End>