今度はジェニファーが教室に入ってくる。

「おはよう、ジェニファー」

 ベアトリスは突然駆け寄って声をかけてみた。

 ジェニファーはベアトリスの髪の色に驚きながらも無視をする。

 それでもベアトリスはお構いなしに話しかけた。

「ジェニファーまだ怒ってる?」

 ベアトリスは時間がかかってもまたジェニファーと寄りを戻そうと試みた。

 今度は本来の自分の姿で接してみたい。

 以前のようなおどおどした自分ではなく、対等に向き合いたい気持ちがあった。

「何をどう言っていいのか、わからないわ」

 ジェニファーはまだ心の整理がついていないながらも、それが正直な気持ちだった。

「うん。こうやって口を聞いてくれただけでも嬉しい」

 ベアトリスが笑みを浮かべると、それに負けたかのようにジェニファーが口元を少し上げた。

 何も畏れずに前向きになってるベアトリスに圧倒されるものがあった。

 この先二人の関係はどうなるか予測が付かないが、ベアトリスは遠慮することなくジェニファーに気持ちをぶつけていく。

 ベアトリスはジェニファーと引けをとらないくらい、魅力的に見え、二人が一緒にいても誰も違和感を感じなくなっていた。

 ベアトリスが殻を破ったように生き生きしてる様子に、ヴィンセントは教室の隅で微笑んでみていた。

 ベアトリスは見違えるように自信を取り戻し、以前のように消極的ではなくなっていた。

 これから何かが変わっていく。

 新たな学生生活の始まりに、ドキドキするようだった。