「おいおい、いい加減にしてくれないか。追いかけっこさせられるだけでも頭にくるのに、さっきから途切れ途切れに話すから話が見えずにイライラするじゃないか。もっと俺にもわかるように説明してくれないか」

 コールがライフクリスタルを何度も宙に投げたり掴んだりとこの状況に呆れだした。

 ベアトリスの命でもあるライフクリスタルを玩具のように扱うコールに、ヴィンセントもパトリックも我慢ならない。

 隙をついて奪い返そうと気を抜かずに コールを睨んでいた。

「ライフクリスタルはホワイトライトの命でもあるが、持ち主があることをしなければそれは奪われても正常に機能しない仕組みになっている。ライフクリスタルを奪われてもホワイトライトは暫く生きていられるが、ある程度の時間が経てば体は消滅しそれは死を意味する。アクティベイトしていないライフクリスタルもまた同じように消滅する」

「だったらどうすれば、これはアクティベイトするというんだ。ベアトリスが消えるまでに何をすればいいんだ」

 コールはクリスタルライフを握り締め問うた。

「私がそれを言うと思うか。このままではライフクリスタルまで消滅してしまうぞ。ここは一度ベアトリスに返した方がいいのではないのか」

「そんな手に乗るか。お前が白状しないのならこっちから聞き出すまでさ」

「だから無理だというのがわからないのか。私を捕まえられぬ」

「だったらこれはどうだ」

 コールは素早いスピードでアメリアを人質にしようと襲い掛かった。

 しかしブラムはお見通しのように余裕で笑みを浮かべる。

「だから無駄だというのが判らないのか」

 アメリアはすっと姿を消すと、ブラムの側に瞬間移動をした。

 コールは肩透かしにあい、近くにいたリチャードに取り押さえられた。

「アメリア、これで判っただろう。思い人を引き寄せる力。私が君を愛していなければ使えない力だ」

 アメリアを目の前にブラムは微笑んで語った。アメリアはそれでも素直になれず、顔を背けた。

「思い人を引き寄せる力…… 愛していなければ使えない力」

 ヴィンセントが呟いた。

 コールはリチャードと揉み合った。

 リチャードも必死にベアトリスのライフクリスタルを奪おうと、コールを締め上げるが、コールに怪我をした傷を攻撃され、一瞬の怯みに取り逃がしてしまった。

「いつまでそこに突っ立てるんだ、ヴィンセント。命を賭けてでもベアトリスを守るんじゃなかったのか」

 ブラムに言われ、ヴィンセントははっとする。

 野獣の姿のまま、恐ろしい形相で立ち向かう。