そこに部屋の奥からマーサが痺れを切らしたかのように現れた。

 目の前にベアトリスが立っている。

 ──まだライフクリスタル奪ってないの。とっくに終わってるかと思ったのに。でもなんか急にお客も増えてどうなってるの。

 マーサは後ろからベアトリスの口を手でふさぎ、もう片方の手で抱き抱え込むように押さえつけた。

 ベアトリスは不意を襲われて、身動きが取れなくなってしまった。

「コール、何してんのよ。ほら捕まえたわよ。早くライフクリスタル取ってしまいなよ」

「さすがマーサだ。気が利くぜ」

 パトリックとヴィンセントが戦っている側を、コールは悠々と歩いてベアトリスに近づく。

「コール! 卑怯だぞ。やめろ!」

 パトリックの攻撃を受けながらヴィンセントは叫ぶ。

「何が卑怯だ。戦いに卑怯もくそもあるか。ベアトリスを救いたいのならそいつを始末したらいいことだろ」

 コールに正々堂々とした策など、はなっから通じないのはヴィンセントも判りきっていた。

「パトリック、目を覚ませ。ベアトリスが危ないんだ。頼むから目を覚ましてくれ」

 懇願するヴィンセントに容赦なくパトリックの剣はヴィンセントの肩を貫く。

 ヴィンセントは声を上げ酷く苦しみだした。