「ご、ごめん、変なこといって。なんかそんな気が私が勝手にしただけ」

「ベアトリス、中々君と面と向かって話せなくて、近寄ることすらできなくて、その」

「あのね、そのことで聞きたいことがあるの。私、ヴィンセントが、その何か真実を隠しているんじゃないかって、その」

「えっ」

「ご、ごめん。うまく、…え、ないんだ…ど、私、ど…な、真実…、受け入れ…覚、悟ができてるって、ことだ、け言いたかったの! 私、その……」

 急に途切れ途切れになると、最後の言葉がさえぎられるように突然ぶつりと電話が切れた。

「…… ヴィンセントが好きなの」

 ベアトリスのこの部分の言葉はヴィンセントには届かなかった。

 突然ぶち切れた電話を片手にヴィンセントは苛立つ。

「お、親父、ちゃんと充電しておけ!!」
 
 わなわなと携帯電話を震えて持っていた。

「ヴィンセント? ハロー? あっ、切れちゃった」

 ベアトリスはもう一度掛けなおすが、繋がらないアナウンスが出るだけでヴィンセントとは話すことがもうできなかった。

 あっさりと諦めて携帯電話を元のところに戻した。

 勇気を出した行動にこの時になってとんでもないことをしでかしたように思い、慌ててベッドに潜り、体を丸めて声にならない声で嘆く。

 体は熱く、胸の鼓動の激しさで呼吸困難に陥りそうだった。