ヴィンセントはその頃、家を片付けようと、どこから手をつけてよいものか、残骸が広がる荒れた部屋で腰に手を置いて途方に暮れて立っていた。

「粗大ゴミに出そうにも、どうやって一人で運べばいい。一度に捨てるのも難しい。派手にやってくれて、よく家が吹っ飛ばなかったもんだ」

 大きなゴミ袋を出して、散らばった残骸をとにかく入れていったが、すぐに手が止まった。

「ダメだ、こんなことしても全然片付かない」

 辺りをまじまじと見渡せば、ブルドーザーがなければ何もできない状態だった。

 ヴィンセントは両手を伸ばし、始末したいものに手のひらを向け気を集中させた。

 黒いもやと共に青白いビリビリとした光が空気中に発生すると、目の前の物体向けて飛ばした。

 当たった瞬間爆発を起こし、大半の姿がなくなった。

「力の加減を間違えたらまさに家が吹っ飛んでしまいそうだ。しかし、やろうと思えばなんとかできるもんだ。掃除も力をコントロールするいい練習になるかもしれない」

 ヴィンセントは片っ端からその力を用いて部屋の中の残骸を片付けていった。

 最初は慎重に、体に力が入って緊張していたが、何度もやっていると次第に慣れてきた。

 コツを掴んだのが嬉しくて、楽しく不要になったものを次々と消していく。

 体の動きも調子に乗り、ポーズをつけては何かのヒーローにでもなったように、 かっこつけていた。

「ヴィンセント、何をやってるんだ」

 リチャードが顔を出した。