「僕が気がつかないとでも思ってたんですか。あなたは僕を完全に信用はしてない。でも今からはそうしてほしいんです。高校卒業後ベアトリスは自立をしよう とあなたから離れるつもりだといいました。そうなれば、一緒に住むことを強制できなくなる。無理に自立させまいとすれば、彼女は疑問を抱くことでしょう。だけど僕ならその後を引き継ぐことができます。彼女にライトソルーションを飲ませ、外敵から守る。だから──ベアトリストと僕の結婚をあなたが認めて下さい」

「パトリック、あなた……」

「わかってます。卑怯な手だということは。それに一度僕は彼女の前で婚約証明書を破りました。僕には今彼女と結婚するための強制手段はありません。だけど 親代わりのそして弁護士であるあなたが法的ななんらかの書類を作り、僕との結婚を勧めれば彼女もそれに従うかもしれない。そうすれば、僕はあなたの変わりに一生彼女を真実から守れるのです」

 パトリックの無謀ともいえる提案に、アメリアは露骨に顔を歪ませた。

 だが、自分がベアトリスを一生守れる保障もない。

 パトリックの言いたいことはストレートにアメリアの胸に響いた。

「急に言われても、答えは出せないわ」

「いいえ、今出さなくちゃだめなんです。できることなら今すぐ結婚させて下さい。そうすれば何かと理由をつけて僕は彼女を安全なところへ連れいける。後からあなたもついてくればいいんです」

「今すぐ結婚といってもあなたたちまだ未成年じゃないの」

「でも親の同意があれば、未成年同士も結婚できます。僕の親はその点では問題はない。あとはアメリア次第」

 アメリアはベアトリスの言葉を思い出していた。

『私はもう一人でなんでもしなくっちゃいけないはず。アメリアは私を守りすぎ。まるで私が一人で行動しちゃいけな いみたい』

 これ以上ベアトリスと一緒に居ることが難しいことはアメリア自身も気がついていた。

 アメリアは選択をせまられ、静かに目を閉じた。