まだ春が始まったばかりだというのに、とても暑い。

 地平線が広がる乾いた大地。

 車がなければ生きていけない、見事な広大な土地。

 カウボーイハットとブーツを普段着にしている男たちが、でかい事を自慢するような土地柄。

 ここには、ロングホーンと呼ばれる牛も、その名の通り大きな角を持ち、ワイルドな男たちはそれにまたがり、気の荒い牛との格闘を楽しんでいるイベントが観光客を呼び込む。

 全てがでかく堂々とした風格の土地ながら、一人の少女だけはそれが嫌とばかりにひたすら歩いていた。

 痩せたい。

 ただそれだけを願いながら、スタスタと足を動かしている。

 ベアトリス・マクレガー、17歳。

 多感で影響を受けやすい気弱な女の子。

 でも、心に秘めた思いはここの土地に負けぬほど、それはとてつもなく大きい。

 だが今は全てを覆い隠し、また自分も秘めたるものに気がついてない様子だった。