週末が明けた月曜日、どんよりとした曇り空で肌寒かったが、ヴィンセントとジェニファーのことを考えると、心も晴れなかった。

 学校が崩壊した後の登校は、あまり気が進まない。

 混乱が続くのに、また一人ぼっちが心細かった。

「待って、ベアトリス。僕が車で送ってってあげるよ」

 パトリックが後ろから叫んだ。

「いいよ、歩いていくのも運動なんだ」

 パトリックはそれならと一緒に歩いていくことにした。

 断ってもどうせついてくるだろうとベアトリスは好きにさせた。

 だが、一緒に歩いてくれる人がいると幾分心が落ち着いた。

 二人して肩を並べて学校に向かう。

 スクールバスが行きかい、子供達が自分の学校目指して歩いている光景が目に入る。

 朝は通学ラッシュだった。

「本来なら、僕も高校生で、こうやって学校に通っているところだったんだな」

 パトリックはそれが楽しいことのようにしみじみと語った。

「その若さで大学まで卒業しちゃってるし、先を急ぎすぎだよ。だけどそれだけパトリックは優秀だったんだね。尊敬する」

「違うよ、ただ無理をして急ぎすぎただけなんだ。本当はとても苦しかった。だけど僕はそうすることで自分を奮い起こしてる部分があった。勉強は自分だけ一生懸命やればいいと思っていたけど、学校生活は全く楽しくなかったよ。周りは全部年上で、僕のこといいように思ってなかったから友達なんて一人もできなかった」

「普通に通ってる私だって、あまり学校生活楽しくないかも。私も友達あんまりいないし……。学校ではどこか誰かに変なこと言われてそうで、といっても実際言われてるんだけどね。だからいつもおどおどしてしまう」

「ベアトリスらしくないな。昔の君なら、知らない人にでも声を掛けて、すぐに友達になっては皆から愛されていたのに。でもここでの暮らしが君に合ってないだけなんだよ。それは君のせいじゃないと思う」