「まあ理由はどうであれ、そのせいでベアトリスは眠っていたホワイトライトの力を目覚めさせてしまった。彼女はその力を使うことは許されず、本人も知らずに封印されていた。あのまま知らなければ、時と共にあの力は自然と消滅するはずだった。あともう少しで消滅だったというのに、封印はその前に解けてしまった。一度あの力を得るともう二度と封印できない。そして彼女は我々の世界にも戻ることはできない」

「ああ、俺のせいだよ。ベアトリスの人生を狂わせたのは全部俺のせいだ。そんなことをわざわざ言うためにやってきたのか」

「いや、そうではない。コールとか言う、力を持つダークライトが動き出したからリチャードに用があってやってきた」

 ヴィンセントはその原因も自分にあると思うと言葉につまった。

 ブラムは何もかもお見通しのように、鼻で小さくくすっと笑って話を続けた。

「そいつがベアトリスを狙うとまずいんでね。奴の狙いはライフクリスタルだ。あれがダークライトの手に渡れば、大変なことになるからね。そして私にも責任重大だ」

 ヴィンセントは責任を感じ、下を向きながら曇った小声で救いを求めるように声を発する。

「俺にも何かできることはないのか」

「愛する人を守りたいってところか。でもお前の出る幕はないようだ。ほらこれを見るがいい」

 ブラムは手を広げて宙を撫ぜるような仕草をした。そこだけ光がぼわっと浮き出ると、スクリーンに映し出されるように、映像が浮かび上がった。

 ヴィンセントは一瞬にして頭に血が上り目を見開いた。醜い嫉妬がこみ上げて、拳を握り震えている。

 そこにはベッドの上で、パトリックがベアトリスを抱いている姿が映し出されていた。

 ブラムは、あまりのタイミングの良さに口笛を思わず一吹きした。

「少々刺激が強すぎるようだな。だがベアトリスはパトリックが守っているということだ」

 ヴィンセントは顔を真っ青にしながら、立ってるのがやっとの思いでふらついていた。

「相当ショックを受けたみたいだね。すまなかった」

 謝っている割にはブラムの顔は意地悪く笑っている。

 ヴィンセントを虐めて楽しんでいた。

 映像は次第にフェードアウトしていった。