金曜日の夕方はベアトリスを巡り、いくつものため息が同時に重なるものとなった。

 そんなこととは知らずにベアトリスはウォーキングに精を出していた。

「ベアトリスが中々帰ってこない。いくらこの辺が安全だからといっても、もし安全範囲を超えている地域にいたとしたら、そしてあの赤毛のダークライトが接近していたら」

 パトリックは急に不安に陥り、心配し出すと止まらなくなっていった。いてもいられずベアトリスを探しに向かった。

 その頃、ゴードンが声を上げていた。

「コール! 反応だ。感じるよ。ホワイトライトが来ている」

「本当か、ゴードン。すぐに瞬間移動だ」

「うん。ちょっと遠いから、誤差が生じるけど、少し目的地より離れてもその後はコールがホワイトライトの気配感じてよね」

「ああ、特定された場所での感知なら俺にも正確に出来る」

 ゴードンはコールの側に寄ると一瞬にして二人は消えた。

 そして最初に移動した場所は車が行き交う車道の真ん中だった。

 二人の目の前に眩しいライトが迫る。

「ひゃーコール。怖いよ。おいらたち轢かれちゃう」

「ゴードン、何やってんだ。早く次の場所に移動しろ」

 しかし車は二人のすぐ側まで近づいていた。

 コールはゴードンを持ち上げて空高くジャンプする。そして空中で二人はまた消えた。

 二人に迫っていた車の運転手は、突然降って沸いた人間を目の前にして、事故を回避しようとその時急ブレーキをかけて、無意識にハンドルを切っていた。

 それが隣の車線の対向車に向かってしまい、激しくぶつかりあう音が響くと辺りはあっという間に悲惨な事故現場となった。

 そんなことも露知らず、知ったところでなんとも思わないだろうが、ゴードンとコールは次の着地地点に居た。

 そこは緑が広がる公園で、遠くに住宅街の明かりが見渡せた。

「ゴードン、こんなところに罠をしかけてたのか」

「ううん、ここじゃない。もうちょっとあっちの方の賑やかなところ。あーあ、かなりの誤差がでちゃった。やっぱり遠いところだと二人で移動するには無理があるかも」

 その時、風を感じるとコールはニヤッと笑いゴードンを見つめた。

「いや、俺たちはついてるよ。ホワイトライトが移動してる。こっちに向かって来る」

 コールは気配を感じる方へ飛ぶように走っていった。

 ゴードンはその動きを見て口を開けてみていた。

「うわぁ、早い。おいらついていけない。ここで待ってるからね」

 ゴードンは芝生の上に腰を下ろし、子供がワクワクするように待っていた。