「菜乃、どうしてそんなこと聞くの?」 口調が少しだけ、強くなる。 これは、不満になった時によく聞く声。 「答えて……」 わたしも強い口調で返すと、触れていた手がわたしの顔の横へ伸びてきた。 見下ろすハルと、見上げる私。 「どうして欲しいの?」 いつだってそうだ。 主導権を握っているのはハル。