電気が復旧し雷が鳴り止んだ頃、校舎の施錠時間もやってきたため、私と由良くんは校舎を出た。
「凛子さんの家ってどこですか?」
「学校の最寄り駅から電車で二駅だよ」
「そうなんだ。あ、凛子さん、ちょっと部室の方行っていい?」
「え?」
ジャージの襟元をパタパタさせながら、由良くんが視線の高さを合わせるように軽く腰を曲げた。
昇降口を出たら別れると思っていた私は、驚いて彼を見つめる。
「着替えたら一緒に帰ろ」
「でも、」
「俺も電車だし、ついでに」
ためらいの言葉を遮るように、由良くんが続ける。
そんなの贅沢すぎるんじゃないかと思うけど、本音はやっぱり、もっと一緒にいたい、から。
「……それじゃあ、お言葉に甘えて」
「ん」
おずおず答えれば、由良くんは満足そうに目を細めた。