曇っているせいか、今日は暗くなるのが早い。

五時頃には図書室も電気を点けなければあたりが見えないほどになってしまった。


外が暗いと、ひとりでいる図書室はいつにも増して広く、無機質な空間に思える。



雨が降り出しそうだからか、普段まばらな人足も今日はまったくと言っていいほどない。

きっともうだれも来ないだろうから、作業を早く終わらせて少し早く切り上げよう。

そんなことを考え、作業の手を速めたその時。


――ガッシャーンッ。

窓の外から突然、なにかが爆発するような凄まじい音が聞こえてきた。


「……っ」


空気を割くようなその轟音に、ビクッと肩を揺らして窓を振り返れば、空を稲光が走った。雷だ。

続けざまに雷鳴が容赦なく響き渡る。


雷は特別苦手というわけではないけれど、あまりの荒々しい音に急にひとりきりの図書室がひどく心細く感じて、本棚の前にしゃがみ込んだまま無意識のうちに自分の両肩を抱く。

と、その時。


「――凛子さん!」


地響きのような雷鳴の中、聞き慣れた声がまっすぐに私の耳に届いた。