夏色の初恋を君にあげる



「じゃあこの本は戻しておきますね」


「ありがとうございますっ……」


由良くんを前に、目をハートにして頬を上気させる女の子。


だけど一方の由良くんはというと、その横顔からはさっきまでの笑みが消えていた。



「失礼しましたっ!」


最後まで由良くんから視線を離さなかった女の子が図書室を出て行き、再びそこがふたりきりの空間になると、私は由良くんに声を掛けた。


「ありがとう、由良くん」


「いーえ。あんな感じだったけど大丈夫でした?」


「大丈夫って?」


「無愛想だったこと。俺、人前で笑うのが昔から苦手なんですよね」