夏色の初恋を君にあげる





なんだか無性に、今すぐ部活をする由良くんの姿が見たい。


そう思っても、まだ昼休み。

放課後までの二時間がとてつもなく長く感じられる。



昼休み後の五時間目は美術だ。

クラスに戻ると、友達はすでに美術室へ移動する準備を終えていた。


待たせないよう急いで準備をし、友達と教室を出た私は、途中でふと、美術用に持ってきた鉛筆をスクールバッグに入れたまま教室に忘れてきてしまったことに気づいた。

授業が始まるまでには行って帰ってこられると判断した私は、友達に先に行ってもらうよう謝り、教室に戻ることにした。



教室棟の廊下は、昼休みがそろそろ終わるからか人の姿が見当たらない。

なんとなく気持ちが急かされ、自然とリノリウムの床を蹴る足の速度があがる。


そして教室の手前、隣の教室に差し掛かろうという時だった。


「高野姉にフラれたわ~」


喧騒の中から、私を指す言葉を軽率に耳が拾ってしまった。

おそらくそれは、さっき告白してくれた彼の声。