夏色の初恋を君にあげる



これまで知り合ってきた男子は、私の妹が雅だと分かると、途端にみんな雅へ気持ちを向けた。

仲のよかった男子にラブレターを渡されたかと思えば、それは雅宛てのもので、雅との恋を取り持つよう頼まれたことだってある。


初めて会った人に雅と比較され、同情の眼差しを向けられたことも数知れない。


だけど、私がそんな目に遭った時、必ず雅が守ってくれた。

優しくて明るくて可愛い雅のことが、私は大好きだ。

雅の良いところを一番知っているのは、姉の私であると自負してもいる。



私を含めまわりの人を一瞬にして虜にしてしまう、そんな魅力を持つ雅。

今までもこれからもきっと、私の世界の主人公はいつだって彼女だ。



「なにか進展あったら、絶対雅に報告してよね。お姉ちゃんの初彼なんて気になりすぎるし」


「進展なんてないよ」


思わず自嘲気味な笑みを浮かべ、頭に掛けたタオルの端をそっと握りしめる。



今日だけ特別な夢を見られた。それで十分。

今日の思い出だけで、これからも生きていける気がする。

だってずっと、遠くから眺めているだけの存在だったのだ。