「い、いいですよ!
すぐそこですし!!」


「すぐなら遠慮することないじゃん。
ほら、早く場所言って。
日が暮れる。」


「ここから見える、あのマンションです。」


「ん、了解。
じゃあその荷物貸して?」


荷物?
これがどうかしたのかな。


疑問に思いつつも言われた通りに差し出す。


「こんな重いの、
一人で持つの大変でしょ?」


そう言って笑った先輩に
思わずドキッとしてしまった。


な、何ときめいてんだ!私!!




特に話すことも無かったから
無言でマンションまで来てしまった。


けど、この沈黙が嫌なわけじゃなかった。


逆に落ち着くような感じがした。


「あの、有難うございました。」


「いいえ。
で、部屋は何階?」


「そこまでなら私一人でも大丈夫ですから!」