黒王子に恋をして。

「五十嵐、そこ違うよ。右だよ」






あれ、左じゃないんだっけか。


その様子を見てクスクスと笑う茜。






「ゆきちゃん、こいつ方向音痴なんだよ(笑)」

「…だまれ」





けど間違えたのはこのたった1回で、瑠奈の家に着いた。



ピンポーンッ


ガチャッ





「あら、梓くん!ゆきちゃんまで!もう1人は……梓くんの双子かしら?」





瑠奈のお母さんは俺と茜の顔を見てそう言う。