「……あのー、レオくんは、どうして人間の姿に?」

まだ本当には信じられない気持ち半分で訊いてみると、

「だって、僕に人間になってほしいってお願いしたでしょ?」

あっさりとそんな風に言われて、軽く困惑する。

「……えっと、確かに願ったけどさ、だからってその……猫が簡単に人間になるなんていうのは……」

目の前の現実をなかなか受け止め切れなくて、ぶつぶつと呟くと、

「あのね……」と、よく見れば確かに猫の名残りのある、そのキラキラとしたブラウンゴールドの瞳でじっと見つめられた。


「……猫は、たった一度だけ、好きな人の願いを叶えられるんだよ」


レオくんはそう話して、猫の毛並みと同じ薄茶色の長くしなやかな髪を、イケメン然とした仕草ですっと掻き上げた。