初めて見るバイトの制服姿に思わず見惚れる。
やっぱりかっこいいな。

逢坂先輩ってかっこいいな。



「来てくれてありがとう。ひとり?」

「え、あの、その……」

「とりあえず中に入って入って」

「いえ、あ……」

「お客様1名ご案内しまーす」


逢坂先輩に背中を押されるがまま店内に入る。
女子高生がたくさんいる中、ひとりで入るのは気まずすぎる。

やっぱり勢いで行動していいことなんてない。

しかも逢坂先輩に背中を押されている。
イコール逢坂先輩の手がわたしに触れていることにより、周りからの視線が痛い。


絶対先輩目当てのお客さんだ……。

すぐにわかる。
他校生までいるし、逢坂先輩ってどれだけ人気なの?



「っ」

きっと、逢坂先輩だけの影響ではないけど。
日向先輩が一瞬こちらを見たけど、すぐに目を逸らされた。

逢坂先輩と日向先輩目当てのお客さんばかりなんだろうな。
実際にわたしもそうだし。


けど、いまは日向先輩と距離があいている。
改めて思い知らされて胸がぎゅっと締め付けられる。



「桜音ちゃん、なに頼む?」

「あ、えっと、その……コーヒー、を」

「了解。ちょっと待っててね」