「ねぇねぇ桜音ちゃん!今日の夜あいてる?」


昼休み、菜々子ちゃんとお弁当を食べていたら唐突に聞かれた。
放課後をすっ飛ばして夜のお誘いってなかなかめずらしい。



「あいてるけど、何かあるの?」

「夜桜見に行かない?」

「夜桜?」

「うん!桜もそろそろ散ってきちゃってるし、その前に桜音ちゃんと見たいなって。桜音ちゃんの名前でもあるし」

「行きたい!」



わたし自身名前の影響でいちばん桜がすきなんだよね。
だから名前のこと触れてもらえるのはうれしいし、こうやって誘ってもらえるのもうれしい。

それに夜桜っていままで見に行ったことがない。


中学生のときは夜の外出ってあまりできなかった。
夜まで遊ぶという経験がない。


それをあえて夜の予定を作るなんて、高校生って感じだ。




「じゃあ部活終わりに集合する?」

「あたしの方が遅いと思うからいったん帰ってもいいよ」

「大丈夫!終わるまで待ってるよ!」

「誘っておいて待たせてごめんね。ありがとう」

「全然!あ、ならさ部活のあと一緒にここ行ってくれない?」