家を出て早歩きをして、周りもしっかり見ながら待ち合わせ場所に向かう。

軽く息切れしながらなんとかゆっくり急いで到着した。



日向先輩を探していると姿を見つけた、けど……東雲先輩?

なんでここに?

GPSでもついてるのかな?


いつか感じたもやっとした気持ち。


わたしはこれをよく知っている。

日向先輩をすきになって、恋愛のきれいな楽しい部分も、黒くつらい部分もたくさん知った。



いままで早歩きだったけど、今日初めて走って日向先輩のところへ行く。



「日向先輩!」

「あ、桜音ちゃん。おはよう」


わたしが声をかけるとすぐにわたしのほうを向いて、歩いて来てくれる。


「ちょっと待ってよ」


それを東雲先輩が止める。



「すみません、彼女来たんで」

「いやよ。もっと話したい」

「おれは別に話すことないので」


優しくだけどはっきりと断っている日向先輩。

それでも引かない東雲先輩。



「いやよ。待って」


東雲先輩が日向先輩の腕をつかんでむりやり引き止めようとした瞬間、日向先輩が思いきりその手を振り払った。