「……独り占めして、いいですか?」



日向先輩の全部をわたしにしたい。

わたしだけにしたい。




「かわいすぎるんだって」


小さくつぶやいた日向先輩がわたしの肩に手を回して引き寄せる。



「全部、桜音ちゃんのだから。独り占めしていいですよ」



その言葉が聞こえてすぐに覆いかぶさるように唇を奪われた。

ちょっぴり強引な日向先輩に、胸がいっぱいになる。


最近会えてなくて、まったく触れていなかった。


優しくて温かい温もりにドキドキする。

日向先輩の服をぎゅっと握る。


日向先輩の髪なのか、海のか、どちらのかはわからない潮の香り。
きっとどちらもだ。


何度も深く重なりあうリップ音を海の波音がかき消す。




まるでふたりだけの世界。

きみを独り占めした。